海を見ていた。
この海は『あの国』に繋がっている。
辛くて憎くて…それでいて忘れる事の出来ない国『オーブ』に。
ミネルバの甲板から眺める海は果てしなくて、逆にその向こうを容易に想像させた。
転落防止のてすりにもたれて、シンは深い溜息をついた。
何をやっているのかと時々判らなくなる事がある。
こんな戦争は早く終わらせたいのに、戦えば戦う程、また火種は増してゆくような気がしてならない。
誰も彼もが「戦争は嫌だ」と叫びながら、終わらない戦争の惨禍。
そして……。
『撃って撃たれて…それで本当に平和になるのかっ!』
判っている。
そうじゃない事くらいは。
でも、撃たなきゃ殺されてしまうんだ。
父さんや母さん。そしてマユみたいに。
ただ…避難しようとしていただけだ。なのに、相手が撃てば、その命は簡単に消えてしまう。
それを…知っている。
だから--戦わなくちゃならない。
「--あ…」
微かな音がしてデッキに誰が出て来たのかと思って振り返ったシンの視界に、ここ最近でようやく見慣れた人影があった。
「--あ…ザラ隊長…」
最も会いたくなくて、最も教えを請いたい人間。
先の大戦を和平に導いた数人の英雄の一人。だが、今のシンにとっては口煩いだけの上司だ。
だが--この2年間で見慣れ憧れた彼の記録は紛れも無く真実だ。
ヤキン・ドゥーエを生き抜いた英雄アスラン・ザラ。
その名がシンの心に重くのしかかってくる。
「--ここだったのか…いないと…意地になって探したな…」
「なんか用事ですか?」
「あ…いや…俺は言葉が足りないらしいから、少しでも対話したいと思っただけだ」
柔らかに告げてくる口調は常の隊長然とした厳しさとは一線を画したものだった。
「--とは…云っても俺も…偉そうな事は言えないけどな」
自嘲するように淡く笑う。
何故そんな風なのかが判らない。
「なんで…あんた……」
「ん?…」
あぁしまった、ついいつもの癖で『あんた』と呼んでしまった。別に軽んじているわけではないのに、出てしまう言葉。
それを気にした風もなく受け入れている彼。
そんな些細なやり取りがひどく気に障るのだ。それが何故かは判らない。
「なんでそんな自信がないんですか?--あんな…訳判んない事云う時だけ偉そうで……。全然判んないですよ」
「--そう…かな?」
戸惑うように首を傾げる。
その仕草はシンに戸惑いを与えた。
少しだけ幼く見える仕草。それは多分常の彼が必要以上に大人びてみせている反動で、本当はこちらの方が年齢相応ではないかと思わせる。
18歳ともなればそんな仕草は似合わないものだが、妙にハマっているのも不思議だった。
---
一旦切ります。
オチが決まってて、途中が全く進みません<がっくり。
この海は『あの国』に繋がっている。
辛くて憎くて…それでいて忘れる事の出来ない国『オーブ』に。
ミネルバの甲板から眺める海は果てしなくて、逆にその向こうを容易に想像させた。
転落防止のてすりにもたれて、シンは深い溜息をついた。
何をやっているのかと時々判らなくなる事がある。
こんな戦争は早く終わらせたいのに、戦えば戦う程、また火種は増してゆくような気がしてならない。
誰も彼もが「戦争は嫌だ」と叫びながら、終わらない戦争の惨禍。
そして……。
『撃って撃たれて…それで本当に平和になるのかっ!』
判っている。
そうじゃない事くらいは。
でも、撃たなきゃ殺されてしまうんだ。
父さんや母さん。そしてマユみたいに。
ただ…避難しようとしていただけだ。なのに、相手が撃てば、その命は簡単に消えてしまう。
それを…知っている。
だから--戦わなくちゃならない。
「--あ…」
微かな音がしてデッキに誰が出て来たのかと思って振り返ったシンの視界に、ここ最近でようやく見慣れた人影があった。
「--あ…ザラ隊長…」
最も会いたくなくて、最も教えを請いたい人間。
先の大戦を和平に導いた数人の英雄の一人。だが、今のシンにとっては口煩いだけの上司だ。
だが--この2年間で見慣れ憧れた彼の記録は紛れも無く真実だ。
ヤキン・ドゥーエを生き抜いた英雄アスラン・ザラ。
その名がシンの心に重くのしかかってくる。
「--ここだったのか…いないと…意地になって探したな…」
「なんか用事ですか?」
「あ…いや…俺は言葉が足りないらしいから、少しでも対話したいと思っただけだ」
柔らかに告げてくる口調は常の隊長然とした厳しさとは一線を画したものだった。
「--とは…云っても俺も…偉そうな事は言えないけどな」
自嘲するように淡く笑う。
何故そんな風なのかが判らない。
「なんで…あんた……」
「ん?…」
あぁしまった、ついいつもの癖で『あんた』と呼んでしまった。別に軽んじているわけではないのに、出てしまう言葉。
それを気にした風もなく受け入れている彼。
そんな些細なやり取りがひどく気に障るのだ。それが何故かは判らない。
「なんでそんな自信がないんですか?--あんな…訳判んない事云う時だけ偉そうで……。全然判んないですよ」
「--そう…かな?」
戸惑うように首を傾げる。
その仕草はシンに戸惑いを与えた。
少しだけ幼く見える仕草。それは多分常の彼が必要以上に大人びてみせている反動で、本当はこちらの方が年齢相応ではないかと思わせる。
18歳ともなればそんな仕草は似合わないものだが、妙にハマっているのも不思議だった。
---
一旦切ります。
オチが決まってて、途中が全く進みません<がっくり。
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本気でG種の映画とさようならしたくなってきた。
つか、見ながら暴れそうな自分に…。
頼む。何がどーなってもいいから、シンとアスランを巻き込むな。
私の未来予想図ではアスランは終戦後、戦士としての役目が終わったら、ひっそりこっそりモルゲンレーテで技術支援と開発に携わるんだ。
シンもある程度の片が付いたらオーブに戻って、働くんだ。
そして時々ラクスの護衛でやってきたイザーク辺りに「元ザフトの赤服でフェイスが二人も揃って、こんな所で油塗れの機械いじりかっ!」と怒られるんだよ、きっと。
しかもなんで怒られるのか判らなくて、二人してきょとんとイザークを見上げてたりすると可愛いだろうなぁ。多分、半瞬後くらいにはシンはガウガウ吠えそうだけど。
そんな妄想を抱いてる人間に…今回の映画は…暴れそうな予感が…ひしひし。
つか、見ながら暴れそうな自分に…。
頼む。何がどーなってもいいから、シンとアスランを巻き込むな。
私の未来予想図ではアスランは終戦後、戦士としての役目が終わったら、ひっそりこっそりモルゲンレーテで技術支援と開発に携わるんだ。
シンもある程度の片が付いたらオーブに戻って、働くんだ。
そして時々ラクスの護衛でやってきたイザーク辺りに「元ザフトの赤服でフェイスが二人も揃って、こんな所で油塗れの機械いじりかっ!」と怒られるんだよ、きっと。
しかもなんで怒られるのか判らなくて、二人してきょとんとイザークを見上げてたりすると可愛いだろうなぁ。多分、半瞬後くらいにはシンはガウガウ吠えそうだけど。
そんな妄想を抱いてる人間に…今回の映画は…暴れそうな予感が…ひしひし。
「キラ…?」
アスランとの会見が物別れに終わったばかりか、彼がザフトに復隊していたと知った二人の反応は端から見ているラクスの方が痛ましく感じる程で。
「…ごめん、ラクス。心配かけて」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。でもお二人には…」
「アスランが帰って来ないから…もしかしたら…とは思ってたんだ。アスランは何かしなきゃって必死になると、それ以外の全てを切り捨てちゃう所があるから。……でも」
「でも?」
キラの屈託がアスランがザフトに復隊した事ではないのなら、一体なんだというのだろう?
そんなラクスの視線を受けてキラが寂しそうに笑う。そう…笑うしか出来ない。
「あの…ダーダネルスにアスランはいたんだ。赤い機体--アスランはセイバーって言ってた。あの時赤い機体があそこにいたのは知ってた。だけど向かって来ないから…何もしなかった。--でも」
「向かって来ていたら…と?」
「ううん、そうじゃないんだ。向かって来たら僕はアスランが判る。あの時判らなかったのはアスランにその気配がなかったからなんだ。でも…そうだということは…」
そこでキラは言葉を切った。
気付いてしまった事。
「--アスランの今所属しているのはミネルバ--僕が最初に陽電子砲を破壊した船だ」
「キラ…」
震える肩を両手で抱きしめる。知らなければずっと知らなかったままかも知れない。
そうなれば…いずれミネルバとは再び見えたはずだ。敵か味方かは判らないけれど。
だがそれすらも『ミネルバがあの一撃で撃沈していなければ』の話だ。
そして…もっと恐ろしいのは…。
「もし…あれを撃った時セイバーが発進間際だったら?カタパルト上であの陽電子砲が破壊されていたら?--僕は何も知る事なく、アスランを殺してしまう所だった……」
「!…」
以前に互いに殺しあった時とは違う。全く意図せずアスランを殺していたかも知れない状況。
そんな事実。
あの時はミネルバを撃つしか方法はなかったけれど、それは限りなく深い意味を持っていたかも知れない。
「…でも、キラ…」
ラクスはいいよどむ。
泣き濡れたキラの双眸を見てラクスはふわりと花のように笑った。
「それは仮定ですわ。お二人は未だ生きておられて、ミネルバも沈んでいませんわ。ならばそれは何も厭う事ではありません。キラは--貴方はもうそれを知ったのですもの」
それ以上の幸はありませんわ、と告げる。仮定の話に全てを見失ってはならない。
何が大切なのかを正しく見極める事で前に進んで行かなくてはならないのだ。もう賽は投げられたのだから。
「ごめんね、ラクス」
「いいえ、私は大丈夫ですわ、キラ。貴方も」
まだ大丈夫。
まだ何も失っていない。
この混沌を鎮めるための刃を、迷いなく奮うための想いも。
******
ダーダネルス海戦後、キラがあまりに平然としているので、『Shelter』のCWとして書いてみました。
キラも気付かずにアスランを殺していたかも知れないという可能性を誰も指摘しないのかな?
そんな気分で、見た#22でした。
アスランとの会見が物別れに終わったばかりか、彼がザフトに復隊していたと知った二人の反応は端から見ているラクスの方が痛ましく感じる程で。
「…ごめん、ラクス。心配かけて」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。でもお二人には…」
「アスランが帰って来ないから…もしかしたら…とは思ってたんだ。アスランは何かしなきゃって必死になると、それ以外の全てを切り捨てちゃう所があるから。……でも」
「でも?」
キラの屈託がアスランがザフトに復隊した事ではないのなら、一体なんだというのだろう?
そんなラクスの視線を受けてキラが寂しそうに笑う。そう…笑うしか出来ない。
「あの…ダーダネルスにアスランはいたんだ。赤い機体--アスランはセイバーって言ってた。あの時赤い機体があそこにいたのは知ってた。だけど向かって来ないから…何もしなかった。--でも」
「向かって来ていたら…と?」
「ううん、そうじゃないんだ。向かって来たら僕はアスランが判る。あの時判らなかったのはアスランにその気配がなかったからなんだ。でも…そうだということは…」
そこでキラは言葉を切った。
気付いてしまった事。
「--アスランの今所属しているのはミネルバ--僕が最初に陽電子砲を破壊した船だ」
「キラ…」
震える肩を両手で抱きしめる。知らなければずっと知らなかったままかも知れない。
そうなれば…いずれミネルバとは再び見えたはずだ。敵か味方かは判らないけれど。
だがそれすらも『ミネルバがあの一撃で撃沈していなければ』の話だ。
そして…もっと恐ろしいのは…。
「もし…あれを撃った時セイバーが発進間際だったら?カタパルト上であの陽電子砲が破壊されていたら?--僕は何も知る事なく、アスランを殺してしまう所だった……」
「!…」
以前に互いに殺しあった時とは違う。全く意図せずアスランを殺していたかも知れない状況。
そんな事実。
あの時はミネルバを撃つしか方法はなかったけれど、それは限りなく深い意味を持っていたかも知れない。
「…でも、キラ…」
ラクスはいいよどむ。
泣き濡れたキラの双眸を見てラクスはふわりと花のように笑った。
「それは仮定ですわ。お二人は未だ生きておられて、ミネルバも沈んでいませんわ。ならばそれは何も厭う事ではありません。キラは--貴方はもうそれを知ったのですもの」
それ以上の幸はありませんわ、と告げる。仮定の話に全てを見失ってはならない。
何が大切なのかを正しく見極める事で前に進んで行かなくてはならないのだ。もう賽は投げられたのだから。
「ごめんね、ラクス」
「いいえ、私は大丈夫ですわ、キラ。貴方も」
まだ大丈夫。
まだ何も失っていない。
この混沌を鎮めるための刃を、迷いなく奮うための想いも。
******
ダーダネルス海戦後、キラがあまりに平然としているので、『Shelter』のCWとして書いてみました。
キラも気付かずにアスランを殺していたかも知れないという可能性を誰も指摘しないのかな?
そんな気分で、見た#22でした。
いえ、まだ達成はしていませんが。
とりあえず、『FINAL PLUS α(前編)』とでも云うべきものが仕上がりました。
この話が書きたかったんだ。
少なくとも、シンが成長するとかしないとか、そんなことじゃなくて。
なんで、最終決戦がシンじゃなくてキラとアスランなんだ??
いろんなムックを読んで(その内のいくつかは買ったり立ち読んだりですが)、それでもなおかつ、監督やら脚本やらのインタビューを読んでも。
やっぱり納得がいかなくてっっっ!!
シンを主人公にした意味は??
今時の少年の代表にしたかった。というけれど、それで??
結局成長しなかった、なの??
今時の少年の成長とか理解とかはこんなものだと、そういいたいのか??
視聴者に全てを押しつけて(見る人それぞれに感想があって、それが各人のG種運命なんですというのは簡単です)、全てはそれぞれの感じるままに、それが全てですというなら、作り手側の表現したかった意図はなんなんだ??
それを明らかにした上で、視聴者の側にはやっぱりいろいろな解釈があって、そうしたものがそれぞれのG種であり、G種運命じゃないのか?
私はこの話を書くにあたって『FINAL PLUS』を否定する意図で書いてはいません。
けれど、結果的に否定してしまうかも知れません。
でも、私はそれを圧してもシンに未来に進んで欲しかったんです。
まだ、ラストを書いていないので、何とも云えませんが。
私なりの『FINAL PLUS α』を。
そして、それに繋がる未来を展開できればと思っています。
