「キラ…?」
アスランとの会見が物別れに終わったばかりか、彼がザフトに復隊していたと知った二人の反応は端から見ているラクスの方が痛ましく感じる程で。
「…ごめん、ラクス。心配かけて」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。でもお二人には…」
「アスランが帰って来ないから…もしかしたら…とは思ってたんだ。アスランは何かしなきゃって必死になると、それ以外の全てを切り捨てちゃう所があるから。……でも」
「でも?」
キラの屈託がアスランがザフトに復隊した事ではないのなら、一体なんだというのだろう?
そんなラクスの視線を受けてキラが寂しそうに笑う。そう…笑うしか出来ない。
「あの…ダーダネルスにアスランはいたんだ。赤い機体--アスランはセイバーって言ってた。あの時赤い機体があそこにいたのは知ってた。だけど向かって来ないから…何もしなかった。--でも」
「向かって来ていたら…と?」
「ううん、そうじゃないんだ。向かって来たら僕はアスランが判る。あの時判らなかったのはアスランにその気配がなかったからなんだ。でも…そうだということは…」
そこでキラは言葉を切った。
気付いてしまった事。
「--アスランの今所属しているのはミネルバ--僕が最初に陽電子砲を破壊した船だ」
「キラ…」
震える肩を両手で抱きしめる。知らなければずっと知らなかったままかも知れない。
そうなれば…いずれミネルバとは再び見えたはずだ。敵か味方かは判らないけれど。
だがそれすらも『ミネルバがあの一撃で撃沈していなければ』の話だ。
そして…もっと恐ろしいのは…。
「もし…あれを撃った時セイバーが発進間際だったら?カタパルト上であの陽電子砲が破壊されていたら?--僕は何も知る事なく、アスランを殺してしまう所だった……」
「!…」
以前に互いに殺しあった時とは違う。全く意図せずアスランを殺していたかも知れない状況。
そんな事実。
あの時はミネルバを撃つしか方法はなかったけれど、それは限りなく深い意味を持っていたかも知れない。
「…でも、キラ…」
ラクスはいいよどむ。
泣き濡れたキラの双眸を見てラクスはふわりと花のように笑った。
「それは仮定ですわ。お二人は未だ生きておられて、ミネルバも沈んでいませんわ。ならばそれは何も厭う事ではありません。キラは--貴方はもうそれを知ったのですもの」
それ以上の幸はありませんわ、と告げる。仮定の話に全てを見失ってはならない。
何が大切なのかを正しく見極める事で前に進んで行かなくてはならないのだ。もう賽は投げられたのだから。
「ごめんね、ラクス」
「いいえ、私は大丈夫ですわ、キラ。貴方も」
まだ大丈夫。
まだ何も失っていない。
この混沌を鎮めるための刃を、迷いなく奮うための想いも。
******
ダーダネルス海戦後、キラがあまりに平然としているので、『Shelter』のCWとして書いてみました。
キラも気付かずにアスランを殺していたかも知れないという可能性を誰も指摘しないのかな?
そんな気分で、見た#22でした。
アスランとの会見が物別れに終わったばかりか、彼がザフトに復隊していたと知った二人の反応は端から見ているラクスの方が痛ましく感じる程で。
「…ごめん、ラクス。心配かけて」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。でもお二人には…」
「アスランが帰って来ないから…もしかしたら…とは思ってたんだ。アスランは何かしなきゃって必死になると、それ以外の全てを切り捨てちゃう所があるから。……でも」
「でも?」
キラの屈託がアスランがザフトに復隊した事ではないのなら、一体なんだというのだろう?
そんなラクスの視線を受けてキラが寂しそうに笑う。そう…笑うしか出来ない。
「あの…ダーダネルスにアスランはいたんだ。赤い機体--アスランはセイバーって言ってた。あの時赤い機体があそこにいたのは知ってた。だけど向かって来ないから…何もしなかった。--でも」
「向かって来ていたら…と?」
「ううん、そうじゃないんだ。向かって来たら僕はアスランが判る。あの時判らなかったのはアスランにその気配がなかったからなんだ。でも…そうだということは…」
そこでキラは言葉を切った。
気付いてしまった事。
「--アスランの今所属しているのはミネルバ--僕が最初に陽電子砲を破壊した船だ」
「キラ…」
震える肩を両手で抱きしめる。知らなければずっと知らなかったままかも知れない。
そうなれば…いずれミネルバとは再び見えたはずだ。敵か味方かは判らないけれど。
だがそれすらも『ミネルバがあの一撃で撃沈していなければ』の話だ。
そして…もっと恐ろしいのは…。
「もし…あれを撃った時セイバーが発進間際だったら?カタパルト上であの陽電子砲が破壊されていたら?--僕は何も知る事なく、アスランを殺してしまう所だった……」
「!…」
以前に互いに殺しあった時とは違う。全く意図せずアスランを殺していたかも知れない状況。
そんな事実。
あの時はミネルバを撃つしか方法はなかったけれど、それは限りなく深い意味を持っていたかも知れない。
「…でも、キラ…」
ラクスはいいよどむ。
泣き濡れたキラの双眸を見てラクスはふわりと花のように笑った。
「それは仮定ですわ。お二人は未だ生きておられて、ミネルバも沈んでいませんわ。ならばそれは何も厭う事ではありません。キラは--貴方はもうそれを知ったのですもの」
それ以上の幸はありませんわ、と告げる。仮定の話に全てを見失ってはならない。
何が大切なのかを正しく見極める事で前に進んで行かなくてはならないのだ。もう賽は投げられたのだから。
「ごめんね、ラクス」
「いいえ、私は大丈夫ですわ、キラ。貴方も」
まだ大丈夫。
まだ何も失っていない。
この混沌を鎮めるための刃を、迷いなく奮うための想いも。
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ダーダネルス海戦後、キラがあまりに平然としているので、『Shelter』のCWとして書いてみました。
キラも気付かずにアスランを殺していたかも知れないという可能性を誰も指摘しないのかな?
そんな気分で、見た#22でした。
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