願わずにはいられない。
あの子が幸せに生きられること。
あの子がもう哀しまなくてすむように。
辛い目に逢わなくてすむように…。
「え?」
「いや…知らないならいいんだ。変な事聞いてすまない」
歯切れ悪くそう云ってからアスランは通信を一方的に切ってしまった。
「…なんなんだよ、全く」
確かにこの通信は軍務の関係のみだし、その内容は既に終わっていたから別にかまいやしないが、それでもちょっとくらいの世間話は許容範囲だろう。実際、アスランだって『訊く』前は世間話をしていたじゃないか。
通信機の前で訳が判らなくて立っていたシンに後ろから声がかかった。
「あ…」
「何をこんなところでやっているか」
全身白づくめと表現したいくらいに『白服』が似合っている男。
「オーブ駐留部隊からの定期通信とオーブ治安省からの定期連絡です」
「?あぁ…アスランか」
あっさりとシンが通信機の前で陣取っていた理由を言い放つ。
そう。
この定期連絡をアスランが行ってくれるからシンはアスランの近況が判ると云っても過言ではない。
過去、プラント・オーブ間を2度も脱走亡命したアスランは、本来どちらにも属する事は出来ない存在となっていた。
それがオーブ側はアスハ代表の、プラント側はクライン議長候補の、それぞれが使える手段を全て使った揚句、何とか『オーブ駐留ザフト関係者』という位置に収めてしまったのだという。
ただ頻繁な相互間の行き来をすることには制限を設けられ、不自由な生活であることは間違いない。
「…で?今回、アレは何を云ったんだ」
「――え?」
「貴様がここでそんな顔で立っているという事はアレがまた何かふざけた事を言い出したんだろう。何だ?」
伊達に長い付き合いではないのだ。あのアスラン・ザラとは。
アレは妙に聡い癖に人の感情には疎いから、またシンを呆れ返らせたのだろうと容易に想像がついた。
「何も云ってないです…」
「…という顔か」
「……」
ガシッとシンは自分の前髪を掻き上げた。
「何も云わないから腹が立つんですよ」
ここ2年で身につけた敬語の精神がどうやら効を奏して、危うくイザークに噛み付く所を寸出で止める。
「アレがそういう奴だと知っているだろうに…進歩のない」
「聴いてきたのは向こうですよっ」
「何を?」
「『デスティニーはどうなった?』って。今の俺の搭乗機はインパルスだし、あいつは非合法MS扱いされてるから…俺には今どうなってるか判らないし…」
「――何が…」
気になっているのかと…イザークですら不審に思う。
フリーダム、ジャスティス、デスティニーが非合法MS扱いとなって永久封印されている事くらい知っているはずだ。
イザークとしては破壊してしまいたいのだが、上は何を考えたのか永久封印という手段を選んだ。
『あんなもの、残してどうする…』
あればいつの時代にか、また使おうと考えるモノたちが現れる。なければ使いようもない。
そこまで考えて、一つの可能性に致る。
「シン…お前に与えられているデスティニーのパスは健在なのか?」
「え?…さぁ、ただあれから無効になった…とは」
「つまり…お前ならばアレを奪取すれば使える…という話か…」
「使いませんよっ!なんですかその過程っ!奪取なんてしません!」
「したい輩がいるという事だ。破壊されていれば使いようもないが…つまり…」
そういう情報をオーブ政府なりは手にしているという事だろう。
不逞の輩はプラント側か、連合側か。
少なくとも事前に芽は潰しておくに限る。
「…と、考えたなら早くそう云え、あのバカ」
なんでもかんでも自分でやってしまおうと考えるアスランの悪い癖だとイザークは切り捨てた。
「シン・アスカ。現時点からオーブ駐留隊への編入を命じる。プラントへの敵性行為が発覚した場合、ジュール隊隊長代行権限を与える。それを排除しろ」
「は…はい!」
突然、動き出した情勢は再びの戦禍を漂わせ始めていた。
****
という話を思い付きました。が、書けるかどうかは大問題~。
あの子が幸せに生きられること。
あの子がもう哀しまなくてすむように。
辛い目に逢わなくてすむように…。
「え?」
「いや…知らないならいいんだ。変な事聞いてすまない」
歯切れ悪くそう云ってからアスランは通信を一方的に切ってしまった。
「…なんなんだよ、全く」
確かにこの通信は軍務の関係のみだし、その内容は既に終わっていたから別にかまいやしないが、それでもちょっとくらいの世間話は許容範囲だろう。実際、アスランだって『訊く』前は世間話をしていたじゃないか。
通信機の前で訳が判らなくて立っていたシンに後ろから声がかかった。
「あ…」
「何をこんなところでやっているか」
全身白づくめと表現したいくらいに『白服』が似合っている男。
「オーブ駐留部隊からの定期通信とオーブ治安省からの定期連絡です」
「?あぁ…アスランか」
あっさりとシンが通信機の前で陣取っていた理由を言い放つ。
そう。
この定期連絡をアスランが行ってくれるからシンはアスランの近況が判ると云っても過言ではない。
過去、プラント・オーブ間を2度も脱走亡命したアスランは、本来どちらにも属する事は出来ない存在となっていた。
それがオーブ側はアスハ代表の、プラント側はクライン議長候補の、それぞれが使える手段を全て使った揚句、何とか『オーブ駐留ザフト関係者』という位置に収めてしまったのだという。
ただ頻繁な相互間の行き来をすることには制限を設けられ、不自由な生活であることは間違いない。
「…で?今回、アレは何を云ったんだ」
「――え?」
「貴様がここでそんな顔で立っているという事はアレがまた何かふざけた事を言い出したんだろう。何だ?」
伊達に長い付き合いではないのだ。あのアスラン・ザラとは。
アレは妙に聡い癖に人の感情には疎いから、またシンを呆れ返らせたのだろうと容易に想像がついた。
「何も云ってないです…」
「…という顔か」
「……」
ガシッとシンは自分の前髪を掻き上げた。
「何も云わないから腹が立つんですよ」
ここ2年で身につけた敬語の精神がどうやら効を奏して、危うくイザークに噛み付く所を寸出で止める。
「アレがそういう奴だと知っているだろうに…進歩のない」
「聴いてきたのは向こうですよっ」
「何を?」
「『デスティニーはどうなった?』って。今の俺の搭乗機はインパルスだし、あいつは非合法MS扱いされてるから…俺には今どうなってるか判らないし…」
「――何が…」
気になっているのかと…イザークですら不審に思う。
フリーダム、ジャスティス、デスティニーが非合法MS扱いとなって永久封印されている事くらい知っているはずだ。
イザークとしては破壊してしまいたいのだが、上は何を考えたのか永久封印という手段を選んだ。
『あんなもの、残してどうする…』
あればいつの時代にか、また使おうと考えるモノたちが現れる。なければ使いようもない。
そこまで考えて、一つの可能性に致る。
「シン…お前に与えられているデスティニーのパスは健在なのか?」
「え?…さぁ、ただあれから無効になった…とは」
「つまり…お前ならばアレを奪取すれば使える…という話か…」
「使いませんよっ!なんですかその過程っ!奪取なんてしません!」
「したい輩がいるという事だ。破壊されていれば使いようもないが…つまり…」
そういう情報をオーブ政府なりは手にしているという事だろう。
不逞の輩はプラント側か、連合側か。
少なくとも事前に芽は潰しておくに限る。
「…と、考えたなら早くそう云え、あのバカ」
なんでもかんでも自分でやってしまおうと考えるアスランの悪い癖だとイザークは切り捨てた。
「シン・アスカ。現時点からオーブ駐留隊への編入を命じる。プラントへの敵性行為が発覚した場合、ジュール隊隊長代行権限を与える。それを排除しろ」
「は…はい!」
突然、動き出した情勢は再びの戦禍を漂わせ始めていた。
****
という話を思い付きました。が、書けるかどうかは大問題~。
え~、と、先日、カラオケに行きまして。
私をG種に引き込んでくれた人と一緒だったんですが、その時ですね。
私自身はキャラクターソングって恥ずかしくてカラオケでは入れにくい人間なんです。
ただ、それが画像付だったりいろいろとあって、今回はいれていたんですよ。
主にその友人が。
(あ、主題歌とかは別ですよ。主題歌は大丈夫なんです)
その中にシン・アスカの「Plimal Innocence」が入ってまして。
「知ってるけど、歌えないよ、私。覚えてないから」
と、云ってて、実際、聞き流しだったので、歌えなかったんですが。
カラオケって、作曲者・作詞者の名前が冒頭に出るじゃないですか。
それを見て、目が点。
作詞・作曲 黒田倫弘
ある事情があって、この人の舞台挨拶まで見に行ったことがありまして。
「あ、・・・あれ???」
シンちゃんのテーマって・・・黒田さんなんですか??
てっきりBGM担当の佐橋さんが一手に握っているモノと思いこんでました。
う~ん、久々に目が点になった事でした。
私をG種に引き込んでくれた人と一緒だったんですが、その時ですね。
私自身はキャラクターソングって恥ずかしくてカラオケでは入れにくい人間なんです。
ただ、それが画像付だったりいろいろとあって、今回はいれていたんですよ。
主にその友人が。
(あ、主題歌とかは別ですよ。主題歌は大丈夫なんです)
その中にシン・アスカの「Plimal Innocence」が入ってまして。
「知ってるけど、歌えないよ、私。覚えてないから」
と、云ってて、実際、聞き流しだったので、歌えなかったんですが。
カラオケって、作曲者・作詞者の名前が冒頭に出るじゃないですか。
それを見て、目が点。
作詞・作曲 黒田倫弘
ある事情があって、この人の舞台挨拶まで見に行ったことがありまして。
「あ、・・・あれ???」
シンちゃんのテーマって・・・黒田さんなんですか??
てっきりBGM担当の佐橋さんが一手に握っているモノと思いこんでました。
う~ん、久々に目が点になった事でした。
作曲家の羽田健太郎さんが亡くなられましたね。
『題名のない音楽会21』とかいろいろあるはずなのに、私にとっては「マクロの空を~貫いて~♪」と歌ってしまうお方でした。
超時空要塞マクロスの最終話の主砲発射シーンには、この主題歌が欠かせないです。
というか、むだな記憶だと思いながら、何故かこの主題歌を聴くと、そのままマクロス最終回主砲発射シーン一連の台詞がダーッと脳内を駆けめぐります。
ニッと笑って、そのまま上空に待避するミリアとマックスだとか。
あ~、あの主砲発射シーンは未だに好きだったりします。
でも、見たのは一回だけのはずなんですがね~。
小学生、記憶力はすごい。
今思えば、リン・ミンメイのやってたことって、ミーアも真っ青なとんでもな行動が多いんですが、それでも愛されてたよなぁ。
なんてことを、いろいろと考えた一日でした。
『題名のない音楽会21』とかいろいろあるはずなのに、私にとっては「マクロの空を~貫いて~♪」と歌ってしまうお方でした。
超時空要塞マクロスの最終話の主砲発射シーンには、この主題歌が欠かせないです。
というか、むだな記憶だと思いながら、何故かこの主題歌を聴くと、そのままマクロス最終回主砲発射シーン一連の台詞がダーッと脳内を駆けめぐります。
ニッと笑って、そのまま上空に待避するミリアとマックスだとか。
あ~、あの主砲発射シーンは未だに好きだったりします。
でも、見たのは一回だけのはずなんですがね~。
小学生、記憶力はすごい。
今思えば、リン・ミンメイのやってたことって、ミーアも真っ青なとんでもな行動が多いんですが、それでも愛されてたよなぁ。
なんてことを、いろいろと考えた一日でした。
先日、お話をしていて。
「シンアスになったきっかけ」
という所で、はたと、止まる。
え~っと、私、なんでシンアスなんだろう??
原因がわかりません。
強いて云うなら「#43」でしょうか?
血まみれのアスラン、ではなく、そんな状態なのに、キラやカガリを守るため、ではなく、ただシンを止めたいというそういう理由だけでジャスティスで飛び出してしまったアスランが、あまりに自然だったからかも知れません。
多分、アスランにとってシンは唯一の「安心できる相手」なんじゃないかと。
手がかかって仕方ないし、わがままだし、云うこと聞かないし。
でも、それでも安心していられる相手なんじゃないかと。
キラではもうすでにそういう域を超えてしまっているんじゃないかと。
ある意味、安心とかそういうレベルではなく、兄弟なんだろうと思います。
しかも、最初の幼年時は確かに面倒をみていた部分もあったけれど、今のキラに対してアスランは何もしてやれることはないんですよ。
アスランはそういう意味では「必要とされなければ存在意義の見いだせない子」なんでしょう。
でも、シンはそういう意味では今はアスランの手を必要としていて、そのうち、アスランを擁護出来る立ち位置に替われる唯一の人間ではないかと。
イザークだと、別の意味の安心になってしまう。
「何してもこいつはダメな時は放り出すだろう」っていう、妙な安心感。
イザークはきっと重荷になってしまった自分を無理して支えようなんて思わないだろうっていう、アスランなりの納得があるんだと思います。
私からするとイザークはその「無理」を努力で埋めてしまう人だと思うんですが、アスランはそんな努力はしないだろーとか、単純に開き直っているでしょうね。
「まもりたい」とか「何かをしなければならない」とか。
そういう義務感を超えたところにいたのが、シンなんじゃないかと、私は思っています。
「シンアスになったきっかけ」
という所で、はたと、止まる。
え~っと、私、なんでシンアスなんだろう??
原因がわかりません。
強いて云うなら「#43」でしょうか?
血まみれのアスラン、ではなく、そんな状態なのに、キラやカガリを守るため、ではなく、ただシンを止めたいというそういう理由だけでジャスティスで飛び出してしまったアスランが、あまりに自然だったからかも知れません。
多分、アスランにとってシンは唯一の「安心できる相手」なんじゃないかと。
手がかかって仕方ないし、わがままだし、云うこと聞かないし。
でも、それでも安心していられる相手なんじゃないかと。
キラではもうすでにそういう域を超えてしまっているんじゃないかと。
ある意味、安心とかそういうレベルではなく、兄弟なんだろうと思います。
しかも、最初の幼年時は確かに面倒をみていた部分もあったけれど、今のキラに対してアスランは何もしてやれることはないんですよ。
アスランはそういう意味では「必要とされなければ存在意義の見いだせない子」なんでしょう。
でも、シンはそういう意味では今はアスランの手を必要としていて、そのうち、アスランを擁護出来る立ち位置に替われる唯一の人間ではないかと。
イザークだと、別の意味の安心になってしまう。
「何してもこいつはダメな時は放り出すだろう」っていう、妙な安心感。
イザークはきっと重荷になってしまった自分を無理して支えようなんて思わないだろうっていう、アスランなりの納得があるんだと思います。
私からするとイザークはその「無理」を努力で埋めてしまう人だと思うんですが、アスランはそんな努力はしないだろーとか、単純に開き直っているでしょうね。
「まもりたい」とか「何かをしなければならない」とか。
そういう義務感を超えたところにいたのが、シンなんじゃないかと、私は思っています。
「時々…」
「…?」
「思う事があるんだ」
人工的に作り上げられた柔らかな日差しの中。
こんな穏やかな日々は自分には相応しくないとどちらもが思いながら。
それでも多くの犠牲をはらいながら、今確かにある平和は彼らに負う所が大きいと誰もが知る二人。
イザーク・ジュールとアスラン・ザラ。
その名は決して好意的に受け取られるものばかりではありえない。
ザラの名を持ちながら一時的とはいえプラントに刃を向けたもの。
戦場とはいえ、連合側に多大な被害をもたらしたジュール隊の隊長と。
そんな二人がこんな穏やかな日差しの中語り合うのは相応しくないと…思う。
「俺が…ただのアスランだったなら…何か変わったのかな?」
「どういう事だ?」
「…俺にザラの名がなくて…アカデミィでもパイロットじゃなかったら…プラントはもっと何か違った道があったのかな?」
「馬鹿馬鹿しい」
そんなアスランの述懐をイザークは一蹴した。
「たかが貴様一人の去就で歴史が変わるなら苦労せん。それとも何か?貴様は自分がそんなたいした者だとでも思っているのか?」
「そうじゃないっ!…だが、少なくともジャスティスは違う人間に与えられ…ラクスの手に渡る事もなく…」
「そんな事をいうならラクス・クラインは…最大のパイロットをてに入れる事もなくAAと共に沈んでいたな」
「イザーク…?」
「貴様がいなけれはあのヤマトとかいう奴はラクス・クラインを直接返そう等と考えなかっただろう」
全てはなるようにしてなった結果なのだ。
あのラクス・クラインにしても全能ではない。アスランが述懐する程にアスランのみが罪深いわけではない。
「大体貴様は余計な事を考えすぎるのが悪いんだ。だから何度も間違いを繰り返す。一番大切なものは何かを考えればいいだけのことだろうが」
「……そんな…一つじゃないだろう」
「だから欲張りなんだ、貴様は」
何でもかんでもしょい込みやがって、と吐き捨てるようにいう戦友は、彼自身もう捨てられないいくつものものを抱え込んでいるはずだった。
それらに迷う事はないのかと尋ねれば、意外にサバサバとした返事。
「ないな。自分が抱えきれない荷物は諦める事にしている」
「でも…」
「そうでなければ、救えるはずのものまで諦める事になる」
あれもこれもと手を出した揚句、全てが水泡に帰すより、薄情だと言われても自分が対応出来るものを確実にクリアしていく事。
それが今のイザーク・ジュールのある姿。
「強いな…お前」
「ふん…貴様が情けないだけだ」
二人の間に流れるのは単純な友情ではない。確執・羨望・自尊心…負の感情とされるものをふくんだそれは、いつしか彼らの中で不思議な友情となって漂っている。
「これからどうするんだ、貴様は」
「…さぁ…考えてないな。しばらくはオーブだと思う」
「そうか…」
無理に帰れという事は、再び同じ過ちを繰り返す可能性がある。それはさせられない。
「---またいつか…帰れば…」
「また使ってやる」
「……あぁ」
迷いなく進む友。
迷うばかりの自分。
再び交錯する事はあるのだろうかと惑いながら、アスランは立ち上がった。
懐かしいプラントの日差しを。
いつか迷いなく見上げることが出来る日を信じて。
****
G種運命終了直後。ラクスを伴ってイザークが帰った時だと思いたい(笑)
「…?」
「思う事があるんだ」
人工的に作り上げられた柔らかな日差しの中。
こんな穏やかな日々は自分には相応しくないとどちらもが思いながら。
それでも多くの犠牲をはらいながら、今確かにある平和は彼らに負う所が大きいと誰もが知る二人。
イザーク・ジュールとアスラン・ザラ。
その名は決して好意的に受け取られるものばかりではありえない。
ザラの名を持ちながら一時的とはいえプラントに刃を向けたもの。
戦場とはいえ、連合側に多大な被害をもたらしたジュール隊の隊長と。
そんな二人がこんな穏やかな日差しの中語り合うのは相応しくないと…思う。
「俺が…ただのアスランだったなら…何か変わったのかな?」
「どういう事だ?」
「…俺にザラの名がなくて…アカデミィでもパイロットじゃなかったら…プラントはもっと何か違った道があったのかな?」
「馬鹿馬鹿しい」
そんなアスランの述懐をイザークは一蹴した。
「たかが貴様一人の去就で歴史が変わるなら苦労せん。それとも何か?貴様は自分がそんなたいした者だとでも思っているのか?」
「そうじゃないっ!…だが、少なくともジャスティスは違う人間に与えられ…ラクスの手に渡る事もなく…」
「そんな事をいうならラクス・クラインは…最大のパイロットをてに入れる事もなくAAと共に沈んでいたな」
「イザーク…?」
「貴様がいなけれはあのヤマトとかいう奴はラクス・クラインを直接返そう等と考えなかっただろう」
全てはなるようにしてなった結果なのだ。
あのラクス・クラインにしても全能ではない。アスランが述懐する程にアスランのみが罪深いわけではない。
「大体貴様は余計な事を考えすぎるのが悪いんだ。だから何度も間違いを繰り返す。一番大切なものは何かを考えればいいだけのことだろうが」
「……そんな…一つじゃないだろう」
「だから欲張りなんだ、貴様は」
何でもかんでもしょい込みやがって、と吐き捨てるようにいう戦友は、彼自身もう捨てられないいくつものものを抱え込んでいるはずだった。
それらに迷う事はないのかと尋ねれば、意外にサバサバとした返事。
「ないな。自分が抱えきれない荷物は諦める事にしている」
「でも…」
「そうでなければ、救えるはずのものまで諦める事になる」
あれもこれもと手を出した揚句、全てが水泡に帰すより、薄情だと言われても自分が対応出来るものを確実にクリアしていく事。
それが今のイザーク・ジュールのある姿。
「強いな…お前」
「ふん…貴様が情けないだけだ」
二人の間に流れるのは単純な友情ではない。確執・羨望・自尊心…負の感情とされるものをふくんだそれは、いつしか彼らの中で不思議な友情となって漂っている。
「これからどうするんだ、貴様は」
「…さぁ…考えてないな。しばらくはオーブだと思う」
「そうか…」
無理に帰れという事は、再び同じ過ちを繰り返す可能性がある。それはさせられない。
「---またいつか…帰れば…」
「また使ってやる」
「……あぁ」
迷いなく進む友。
迷うばかりの自分。
再び交錯する事はあるのだろうかと惑いながら、アスランは立ち上がった。
懐かしいプラントの日差しを。
いつか迷いなく見上げることが出来る日を信じて。
****
G種運命終了直後。ラクスを伴ってイザークが帰った時だと思いたい(笑)
